浴室、ユニットバスの修理、補修依頼 トップ3のひとつが…
ドアや折戸の修理と交換です。
毎日使う浴室のドアは、常に水と湿気にさらされているため、使われている部品が劣化しやすくなります。
弊社の施工例と共に、様々な修理や補修、交換方法などをご紹介します。
ユニットバス、お風呂のドア補修
この記事では、浴室ドアで主流の折戸タイプとドアタイプ(開き戸)について取り上げます。
ユニットバスや浴室自体は、まだそれほど傷んでいなくても、ドアの動きが悪いと毎日の入浴が小さなストレスになるものです。早期に補修することで、他の不具合への連鎖を防ぐこともできます。
ご依頼の多い修理項目を、ドアのタイプ別、そして各タイプ共通の補修項目の順に解説します。
折戸タイプ
動きが悪い、レールから外れる、途中で止まる、引っ掛かる場合は、戸車・ピボットの不具合が原因の可能性があります。
戸車・ピボットの交換
ドアの上下に取り付けて、レールから外れないよう開閉を補助する部材です。
メーカーごとに名称は異なりますが、取付位置や役割は同じです。
例 YKKap メーカーサイトから引用
この部品にはスプリング(バネ)が内蔵されており、スムーズに開閉できるよう設計されています。
外側の樹脂ケースが割れてスプリングが外れたりすると、ドアの荷重を支えられなくなるので、動きが悪くなったりレールから外れたりします。この状態のまま使い続けると、レールが削れたり、ドア本体が歪んだりしてきますので、早めの修繕が必要です。
ケースが割れて、バネが飛び出した戸車
メーカーやユニットバスの品番、製造年などから部品を探しますが、見た目(写真)が似ていても適合しないことがありますので、注意が必要です。
交換方法
ドアの外し方には、主に2通りあります。
ドアの吊元側上部にあるレバーを引き下げるか、ドアの吊元側のレールにあるストッパーを外し、ドアの下側を斜めにスライドさせるとドアがレールから外れます。
番外編
例外は、松下電工や積水の古いユニットバスの折戸で、上レールの中に戸車が入っているタイプです。これは、ドア上部のネジを緩め、ドアを少し上に上げるようにして戸車の心棒を受け金具から外す必要があります。この部分が破損しているケースも多く見られます。
戸車・ピボットを外す
戸車が差し込んであるだけの場合は、そのまま引き抜けば外れます。抜けない場合は、部品に返し(爪)が付いているので、
縦枠にある穴から、中の樹脂部分をマイナスドライバーなどで押し込んでロックを外して引き抜くと外れます。
部品検索参考サイト 外部リンク
YKKap 戸車
リクシル ピボット・ヒンジ
積水セキスイ 戸車 *業者向け折戸部品一覧表 PDFで開く
ラッチの調整・交換
ドアを閉めても、すぐに開いてきてしまう場合、ラッチの不具合が原因の可能性があります。
ラッチとは
折戸のヒンジ部分の上下に取り付け、閉めた時にレールにドアを固定する可動部材です。
先端が三角形状で、スプリングが内蔵されています。
調整方法
ドアの浴室側上下にある取付ネジをドライバーでゆるめ、ラッチ本体を上下させて調整できます。
TOTO折戸ラッチ調整方法 PDFで開く
本体破損やスプリングが弱くなっている場合は、部品の交換が必要です。
ラッチの動きが悪いだけであれば、清掃してから水置換スプレーを吹くと改善します。
(シリコンスプレーでも効果がありますが、床面に付着すると滑りますのでご注意ください)
部品検索参考サイト 外部リンク
積水セキスイ ラッチ *業者向け折戸部品一覧表 PDFで開く
ストッパー・外れ止めの調整・交換
ドアを開閉すると吊元が左右に動く場合、ストッパーの不具合の可能性があります。
ストッパーとは、折戸の吊元側のレールに取り付ける、ピボットの位置固定部品です。
この部品が緩んだり無くなったりすると、折戸の支点が動いてしまい、スムーズに開閉できなくなります。
なお、ピボットの向きを変えて固定する折戸には、ストッパーはありません。
部品検索参考サイト 外部リンク
レールの不具合
レールにくぼみや曲がりがあると、ドアが途中で止まるったり、引っ掛かることがあります。戸車が破損したまま使い続けていると、ドアと下レールが当たり削れてしまうこともあります。
ユニットバスのレールにできた凹み 戸車が引っかかり、スムーズに開閉できなかったケース
レールの補修方法
曲がりがあればプライヤーなどでまっすぐにします。レールはアルミ製ですので、金属疲労で割れないよう慎重に行います。
曲がりの修正が難しい場合や、凹み、くぼみがある場合は、オーバーレールで補修できます。
オーバーレールとは
今のレールの上から被せるように取り付けるステンレス製のレールです。
家研販売株式会社より引用
家研販売 メーカーサイト 外部リンク
ハンドル、引手、把手(はしゅ)の不具合
折戸の場合、樹脂製かアルミ製です。特に樹脂パーツが経年劣化で破損することがあります。
また、戸車やレールが破損したまま使用していると、ハンドルに無理な力がかかるようになり、破損リスクが高くなります。
他の部品と同様、メーカーやユニットバス品番、製造年から適合部品を探します。商品によっては、メンテナンス用部品の供給が終わっているものもあります。
部品検索参考サイト 外部リンク
積水セキスイ 把手 *業者向け折戸部品一覧表 PDFで開く
ドアタイプ
閉まらない、ドアが枠と当たる、擦れる
建物の傾き、蝶番(丁番)の劣化が主な原因です。
経験上、建物または入口枠の傾きや歪みが原因の大半を占めています。
補修手順
レーザー水平器で傾きの有無を確認
蝶番の固定ビスのゆるみ確認、増し締め
戸先の上または下が当たっているなら蝶番の微調整
これでもまだ、戸先側の上や下が当たるようであれば、ドア側を少し削って解消することも可能ですが、あくまでも最終手段になります。
ドアノブの交換
お風呂は常に湿気があるので、ドアノブや錠ケースのスチール部分がサビて動かない、ロックできないなどの不具合が出てきます。内側からロックした状態で戻らなくなる可能性もありますので、動きが鈍いと感じたら早めに交換しましょう。
錠ケースがサビて動かなくなったドアノブ
通常の外し方では無理ですので、グラインダーでノブの根元から切断します。
ドアノブ、錠ケース共にステンレス製の物に交換します。
レバーハンドルに替えたい
握り玉タイプであれば、バリアフリー対応として、レバーハンドルタイプへの交換がお勧めです。
BS(バックセット)の寸法、錠ケースのラッチボルトのピッチなどを確認の上、商品を選定します。通常は、ドア側の加工をいくらか要しますが、違和感なくお使いいただけます。
日中製作所 樹脂レバー錠 アイボリーの施工例
ゴムパッキンの交換
特に、バリアフリータイプ(お風呂の洗い場と洗面脱衣所の床高がフラット)のユニットバスの場合、パッキンだけで水漏れを防いでいますので、切れたり、はがれたりしている場合は、早めの交換が必要です。
一番確実なのは、メーカーのアフターメンテナンスサービスを利用することです。ユニットバスのドア上にある、品番ステッカーの情報を伝えれば、対応してもらえます。
入手可能な汎用パッキンが適合するなら、部品を取り寄せて交換することも可能です。ただし、部品販売だけには対応していない商品があるメーカー(リクシルなど)や、交換手順書が用意されていないメーカー(積水など)もあります。
折戸、ドア共通の補修項目
パネルの交換
何かの拍子に割れてしまった、水垢や汚れが取れない場合などは、パネルだけ交換することもできます。
パネルの材質は主に3種類です。
樹脂パネル
一番多く使われています。浴室が外から透けて見えない梨地(なしじ)、または霞(かすみ)のパネルが主流です。厚みは、2mm、2.5mm、3.0mm、3.5mmがあります。
ポリスチレン樹脂板 2.5mm交換 施工例
アルミ複合版
比較的古いアパートやマンションに多く使われています。発泡ポリエチレン樹脂をアルミニウムでサンドイッチした構造になっています。耐水性、耐腐食性にも優れますが、カビ取り洗剤の使用などにより経年劣化してきます。
サビたアルミ複合板から、ポリスチレン樹脂板 3.0mmに交換した施工例
ガラス
解放感や高級感のあるお洒落な浴室に採用されています。安全確保のため、強化ガラスがつかわれることがほとんどです。水垢が付きやすいので、きれいに保つための掃除は欠かせません。
パネルが交換できないドアとは
ここ数年、ガスケットレスでパネルが組み込まれたドアの採用も増えてきました。
パネルとフレームをボンド接着にすると段差が無くなり水が溜まらないため、カビが発生するのを防げるのがメリットです。
YKKap ドアリモ カタログから引用
だだし、パネルだけの交換ができません。そのため、パネルの破損や落ちない汚れがついた場合には、ドアごと交換する必要があり、修繕費が割高になる点がデメリットになります。
グレチャン・ビードの交換
ドアフレームとパネルは、グレチャン(グレイジングチャンネル)またはビードで固定されています(例外あり)。これはゴム製なので、やがてカビてきたり、経年劣化で収縮して隙間ができたりします。
グレチャン
一般的なのはU型のグレチャンです。交換するには、ドアの枠を外してパネルごと取り出す必要があります。
また、サイズ規格が多数ありますので、現調により以下の点を確認する必要があります。
パネルの厚さ (2mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm)
ドア枠側の溝幅 (7mm、9mm、11mmなど)
色 (グレー、ホワイト、ブラック、アンバーなど)
後入れビード(グレイジングビード)
(左)交換用の新しいビード (右)傷んだ古いビード
断面形状は異なりますが、寸法規格は同じ商品です。
パネルを外さずに交換できます。通常は、内側からパネルとフレームの隙間に押し込むように取り付けます。
同じく、規格が複数ありますので、現調が必要です。
パネルとフレームの隙間(クリアランス)
3mm、4mm、5mm、6mmが主流
色 グレー、ホワイト、ブラック、アンバーなど)
後入れビードの施工例
まとめ
浴室ドアの修理や補修についてご紹介しました。
使用頻度が高く、水廻りのため湿気やカビなどで傷みやすい箇所ですので、長く使用できるよう、不具合が出たら早めに補修するのがお勧めです。
築年数が20年以上経っていたり、ドア全体が傷んでいる場合には、ドア本体の交換や入替もご検討ください。
弊社では、賃貸物件に限らず、個人のお客様からもご相談、ご依頼の多い工事です。
営業エリア内は、見積無料ですのでお気軽にお問い合わせください。